第26回 「[補論 ②] 」
●[補論]神学的議論をする際の注意
神学的な議論をする際には、必ずその議論は聖書によって根拠づけられていなければならない。特に神の遍在をめぐっては、人間の思弁に頼ると汎神論に陥ってしまう。汎神論(万有神論)とは以下の考えだ。
〈宇宙全体がそのまま神であるという論。汎神論という言葉は近代になってからの造語であるが、その思想は古代からあり、種々の形がある。
①無宇宙論的汎神論:神のみが絶対的実在であり、宇宙は究極的には幻影にすぎず、非実在であるとする論。インドのヴェーダやウパニシャッドの思想はこれに近い。
②内在論的汎神論:神は宇宙の一部であり、宇宙に内在しているのであるが、その力は全宇宙に及んでいるとする論。汎宇宙論的汎神論ともいわれる。
③絶対的一元論的汎神論:神は絶対的で宇宙と同一であり、宇宙は無変化であるとする論。
④相対的一元論的汎神論:世界は実在であり変化するものだが、神の内にあるとする論。だが神は、世界に影響されないと考える。
⑤神と世界は相即的であり、それらは同一の実在の二つの名称であるとする論。これはスピノザの理論に典型的に見られる。
これらの議論に含意されている諸問題は、内在か超越か、世界は実在か幻想か、自由か決定論か、世界は秘跡的なものか世俗的なものか、などである。〉(高尾利数「汎神論」『岩波哲学・思想事典』岩波書店、1998年、1295~1299頁。適宜改行を変更した。)
キリスト教神学においても、ここであげられた①から⑤の汎神論の傾向がつねに存在する。筆者は、いかなる汎神論的傾向もキリスト教神学から除去することが重要であると考える。それは、汎神論においては、世界(もしくは宇宙)の外部が存在せず、神の主権を侵害するからだ。
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